結論

今回のエッセイは、一見すると「ガンプラの営業戦略が成功している、格闘ゲームと同じ路線を歩もうとしているマジックは、ガンプラを見習おう」という意図で書かれているように読めます。その実「マジックの販売戦略はガンプラのそれと同じであり、歴史的に先行しているガンプラは成功している」と紹介しているんですよ。これって、アンチマジック陣営からすれば「利敵行為」ですよ(笑)。

最後になりますが、ガンプラ商法について明らかに間違えている点を指摘します。

> ここに挙げた“ガンプラが成功した理由”をよく吟味してみると、例えばTCGの世界では不可能であると言われてきた事が実現されているのが分かります。「同じカードセットは何年も売れ続ける物ではない」「新作を出さないとTCGの売上は維持できない」これはガンプラの事例を見る限り明らかに間違いです。

 これについて、あいせん氏は前の段落で自ら否定しています。

> しかもガンダムには未だにアニメやTVゲームによって話題が提供され続けていますから、同じプラモデルを作るにしても他のジャンルに比べて感情移入しやすいのです。

そう。TVアニメ・漫画・Webなどのメディアミックス戦略を貫き、毎年新しいガンダムを作り提供しているからこそ、2世代に渡ってガンダムというブランドが作られているのです。もし新しいガンダムが放映されず、古いガンプラだけがずっと模型店に置かれているとしたら、それでガンプラが売れるとはとても思えません。新しいガンダムが放映され続ける事で新しいユーザーを開拓し、新旧両方の商品を準備する事で、新しいガンダムを見知って玩具店に戻ってきた古くからのユーザーも、新旧どちらかの商品(もしくは両方)買ってもらえる。これが真のガンプラ商法の強みです。

ガンプラの場合、毎年新しいアニメが放映される事で新製品の開発と宣伝を行っています。ガンプラ商法が成功しており、それを追いかけるべきと考えるのなら、「マジックも今後新製品を出し続ける必要がある。(一方、古くからのユーザーも引き付ける何かが必要である)」という結論になる筈なんですけどねぇ…。