車の保険

 まず、たとえ話。
「オレ、今まで10年間車を運転していて一度も交通事故を起こした事ないから、人身事故の任意保険なんか加入しないよ。保険料の無駄じゃない?」
「人身事故の保険に入っていても入らなくても、統計的に交通事故を起こす可能性は変わらないじゃない。だったら保険に加入しなくてもいいんじゃない?」
「保険に入っていたら、絶対に事故が起きないの? それでも事故を起こすなら、加入する意味無いじゃん」
「アソコの保険会社、加入したら過剰引き落としをした事故が1件あったじゃない、保険に加入して被害受ける可能性あるなら、入らない方がいいや」

 と言って、自動車を乗り回す人が身内に居たらどう思うか? あたしゃ張り倒してでも車を取り上げるか任意保険に加入させる。
「今後も事故を起こさない保証は無いよな?」「保険に入っておけば、賠償請求とかあっても安心だろ?」「事故を絶対に起こしたくなかったら車を捨てるしかないよ。そうじゃなくて事故を起こす可能性があるから、安心を買うんだよ」「そんな引き落としミス、何百万件の契約のうちの1件だろうが、そんなの理由になるかよ」 ここらへん、自動車を運転する人(特に業務で運転する人)だったら納得してくれる筈。

 で、なんで新型インフルエンザを含む、各種ワクチンについて、上記の考え方をする人が少なからず居るのか本気で分からん。

「今までインフルエンザにかかった事ないから、ワクチン受けない」
「ワクチン接種してもしなくても、発症率変わらないって統計がどっかにあったじゃない? なんとかレポートって奴」
「ワクチン接種してもインフルエンザに感染するんでしょ? だったら接種する必要無いじゃない」
「インフルエンザワクチンを接種したら、ギラン・バレー症候群なんて副作用あるんでしょ? 怖いからいやだなぁ」

 自分の視点で見ると、こういう方々は「任意保険に一切加入せずに自動車をかっとばして運転してる」方々にしか見えない。

 インフルエンザワクチンに関する情報は省略。厚労省のサイトでも見れば済む。

 …で、「ワクチンは薬屋と政府の陰謀」説をWeb上で書き連ねる方々が居られますが。ちょっと考えてみてほしい。ここまでインターネットで世界中繋がってて、世界中の研究者が意見を発表できる場があって、アメリカが最大派閥だけども欧州にも日本にも世界中に製薬メーカーと研究者がウジャウジャ居る現状で、ワクチンに関する陰謀を、そのまま世界に隠し通せると思ってるんかいな? 製薬メーカーの陰謀でワクチン否定派の情報が広まらないのではなく、単に間違えてる意見が広まらないだけだと何で理解されんのかなぁ。

 あンたがワクチン接種しないでインフルエンザで寝込むのは勝手だけど、あンたが感染して発病するまでの間に出歩いてたら世間にウイルスをばら撒くバイオテロやってるようなもんだし、世の中には妊婦(妊娠初期)や卵アレルギーなど、ワクチン接種出来ない人も居て、そういう人に感染させる可能性もある。余所に迷惑をかける事も理解したうえでワクチンを拒否してるの?

 新型インフルエンザのワクチンは間に合いそうになさげだけど、季節性インフルエンザのワクチンはもう接種可能、出来る方は病院に行きましょう。…そろそろ品切れとか、通院患者しか接種出来ません、という診療所も出てきてるみたいですが。