ゾロ品飲む奴の気が知れない

 ジェネリック医薬品後発医薬品と呼ばれる薬がある。
 薬ってのは化学合成が主なんで、作り方さえ知られれば簡単に、もう町工場でも出来てしまう。それだと、開発するのに数百億から下手すると一千億円の資金を費やした企業が報われないので、薬については特別に特許出願から20年は独占製造販売が認められてる。その特許が切れたのを見計らって、先発品の真似をして数千万円の費用で出来た薬、それがジェネリック医薬品になる。 昔は後からゾロゾロ出てきたからゾロ品と呼んでたが、ゾロ品メーカーがイメージ戦略でジェネリックと呼ぶようになってきた。

 さて。単なる化学物質を見つけ出してから、薬と呼ばれるようになる為には厚生労働省に承認してもらう必要があり、その為には各種資料が必要になる。


イ 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料
1 起原又は発見の経緯
2 外国における使用状況
3 特性及び他の医薬品との比較検討等

ロ 物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料
1 構造決定
2 物理的化学的性質等
3 規格及び試験方法

ハ 安定性に関する資料
1 長期保存試験
2 苛酷試験
3 加速試験

ニ 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料
1 単回投与毒性
2 反復投与毒性
3 遺伝毒性
4 がん原性
5 生殖発生毒性
6 局所刺激性
7 その他の毒性

ホ 薬理作用に関する資料
1 効力を裏付ける試験
2 副次的薬理・安全性薬理
3 その他の薬理

へ 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料
1 吸収
2 分布
代謝
4 排泄
5 生物学的同等性
6 その他の薬物動態

臨床試験の成績に関する資料
臨床試験成績

 …と、新薬の場合はこれだけの資料が必要。さて、ゾロ品の場合はどうか?


ロ 物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料
3 規格及び試験方法

ハ 安定性に関する資料
3 加速試験

へ 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料
5 生物学的同等性

 …ぶっちゃけ、「以下同文でしょ? 似たような感じに出来てりゃいーよ」しか厚生労働省はチェックしてない。 生物学的同等性にしても、最近じゃ「新薬と似たような感じで溶ければ、一緒なんじゃね?」という溶出試験で品質再評価するようになった。

 …ホントに、それで新薬とゾロ品が同じで安全だと信じられます?
 …いや、実際のトコ、「同じじゃない」ンだよね。先発品には無い道の混入物が検出される例、高温多湿の環境で加速試験を行い、安定性を検査したらゾロ品だけ不適になった例、薬の溶け方が新薬と全く異なる例などなど…。