スリーブ話

 既にみらこーさんが非常に良く纏めた形でWebにアップされているので、今更書いても仕方が無いのかもしれないが、まぁ補足的になれば。

・このスリーブは使うな
ルール上、禁止してはいないがジャッジとしてあまり使われたくないスリーブ。

a,透明・半透明(各社)
ジャッジがデッキチェックをするのに面倒だから止めて欲しい、というのが率直な理由ではあるのだが(笑)。なぜ面倒かというとルールで「透明スリーブについては、スリーブとカードの汚れ両方を確認する」と明記されてるから。つまり色付きのスリーブならスリーブの汚れだけ確認すればいいのに、透明スリーブだとそれに加えてカードの汚れまで確認する必要があるので二重の手間が発生する。
 …と、ここまではあくまで冗談話でここから本番。「貴方が長年使っている高額レアカードは、裏に何の傷も汚れも無い美品ですか?」 例えば《真鍮の都/City of Brass》や《極楽鳥/Birds of Paradise》など、昔からある高額カードは、新しい版が出たとしても買い直すような事はしない。従って数年前から使い続ける人も居る筈。そんなカードを半透明のスリーブに入れて大会に出てデッキチェックの対象になったら、一発で印の付いたカードでペナルティの対象になるし、汚れたカードが《真鍮の都/City of Brass》4枚だけ、となったら「重度」扱いになっても仕方が無い。貴方が思うよりもカードは汚れているし区別が付く。従ってブロック限定構築のデッキでも作らない限り、スリーブは色付きにすべき。(アーティファクトサイクル限定構築でも、なぜか昔の《トリスケリオン/Triskelion》が入ってて汚れてるとかあるかもしれないけど)

b.ラメ入り(各社)
ラメ入りというか、マット加工というか、とにかく表面がグロス(滑らか)になっていないスリーブを使うのはお勧め出来ない。なぜかというと「区別が付く」から。同じ様に見えるかもしれないが、一枚一枚見比べて全く同じではない限り、区別が出来てしまう。週刊少年マガジンで連載中の麻雀マンガではないけど、「竹牌ではガン牌できるから練牌にしてくれ」というモンだと思ってほしい。
# 「そんな印南みたいな事、オレが出来るワケねーじゃん!」と思う人も少なくないと思う。しかし、貴方が出来るかどうかジャッジは分からない以上、「わざわざ普通の種類のスリーブがいくらでもあるのに、こういうスリーブを使うのは他に理由があるからじゃないですか?」という疑問はどうしても思ってしまうわけです。
## 将来、偏光レンズの眼鏡と特殊インクを塗ったスリーブを使うデュエリストが出てきたら怖い。

c.ホログラムシール付きスリーブで、グロス加工以外のもの(ウルトラプロ)
黒とか赤とか、グロス処理されている奴では大丈夫なのだが、そうではないメタリックのマット加工されているものはお勧め出来ない。なぜかというと「スリーブによって区別がついてしまう」から。スリーブの表から見ると左下にホログラムシールが貼ってあり、そのシールを貼る時の打鍵跡だと思うがスリーブ裏面の右下にまで丸い跡が残っている場合がある。これが全部にあるならいいのだが、有ったり無かったりするから始末に終えない。もしも運悪く土地だけ跡有りでそれ以外跡無しとか、サイドボードだけ跡有りだったりしたら、それだけで印の付いたカード(重度)扱い。もしも、塩ビの質とかの都合でどうしてもウルトラプロのマット加工を使いたいのなら、カードをスリーブに入れる前に自分の目で全件検査を実施して、全て跡が無いスリーブであることを確認してから使って欲しい。

d.フォーラムスリーブ
c.と同様に、印の付いたカード扱いになってしまう可能性が高い。裏面から見て、塩ビの張り合わせ部分の色が白くなっているのだが、その白い部分の幅にバラつきがある為、裏から見て区別できてしまう場合がある。(両方白い・右だけ白い・左だけ白い、など) これも、どうしても使いたい場合は(ダブルスリーブを使っている人は堅さと大きさの点でフォーラムスリーブが一番良いらしい)、カードを入れる前に全件検査をしてから使って欲しい。

e.ミラー加工(各社)
スリーブの中に、背面が反射してしまうものがある。こういうのも不正行為に使われる可能性があるのでお勧め出来ない。例えば、「ドローフェイズの時以外にも山札のカードを触ってるクセがある人」が居るが、もしもこの人が「背面が反射してるスリーブを使う」「トップカードが偶然、数ミリ浮いてしまった」といった事が重なった場合、こちらは「2枚目のカードの背面を利用して、トップカードが何色のカードなのか(土地かそれ以外なのか)を見て、ライブラリ操作カード(フェッチランド等)を使おうかどうか判断していた」と見なさざるを得なくなる。『李下に冠を正さず』という格言ではないが、わざわざ疑われやすいスリーブを使って余計な苦労を背負っても意味が無いと思ってほしい。

f.論外
ルールで禁じられているスリーブを使うのは論外。ポケモンスリーブなど裏に模様があるもの、自由の女神スリーブなど裏にデザインがしてあるものは使用不可です。ウルトラプロの透明スリーブの場合、ホログラムシールがカード背面側に見えるように入れるのもダメ。 いずれも理由は「印の付いたカード」になる可能性が高いから。

・おすすめ
今一番お勧めできるのは、やのまんで出している「75枚入り」のスリーブ(透明以外)。なぜかというと、他のスリーブが100枚入りで50枚づつの包装になっているのが殆どだが、工程上、それぞれ50枚毎の包装で、同じメーカーの同じ袋に入っていたにも関わらず長さが異なる場合があり、75枚が1包装になってるやのまんスリーブを使えばそういう事がないから。トーナメント当日の朝に新しい75枚入りのスリーブに入れて参加すればまず問題ありません。(デッキリストと枚数が異なっているなんて事がなければ) 

・印の付いているカード
「すみません、これくらいの汚れはどうですか?」「このカードだけFoilなんですけど」とトーナメント前によく聞かれます。(というか、聞いた方が安全。昨日参加したトーナメントのジャッジと今日のジャッジで評価が異なる事もよくある話)
 自分は「最終的にはヘッドジャッジの裁量だよ」と前置きをしつつ「オレがデッキを見て、他のカードと区別できるならマークドだよ」と言っている。(あるジャッジのアナウンスを孫引きすると「プレイヤーが「大丈夫かどうか?」と思うレベルのスリーブの汚れや破れは、ジャッジの視点で見れば全てアウト」。自分の経験則からしても大体そうですな)
自分は、あるトーナメントで「《帰化/Naturalize》1枚だけFoilなんですけど」と相談を受けた時に「そのデッキを借りて、手元を見ないでシャフルして、指にひっかかるところでカットして、トップカードを見たらFoil帰化/Naturalize》」を実演して見せて「ノーマルを探します」と納得させた事があります。
 貴方が「ジャッジで慣れてるからFoilを抜けるんであって、自分達は手品師じゃないんだからそんなこと出来ないよ」と思うかもしれません。ですが、貴方がどれくらいのカードの汚れやFoilでカードを区別できるかどうか、こちらでは分かりません。ですのでジャッジが見て・触って、区別がつくのなら、その山札はマークドカードだとみなさないといけないわけです。